同胞

駅のホームの片隅で、
高校時代の友人と偶然ばったり会って、
その２日後、２０年ぶりに呑み交わしたのは、
お互い、逢うべくして逢った
邂逅の機会だったのだろう。

彼とは高校入学すぐに、気が合って以来卒業まで、
教師達から不条理ともいえる（？）注意（時々体罰）を受けたことも、
すっかり笑い種である。
当時、互いの根本にあった蒼い哲学は、
とことん目立つことと我が道を貫くことだったのだろう。
ほんま蒼臭かった。
そして今も、環境が変われどもお互いさまだった。

思春期当時、これから初めて経験するあらゆることを、
彼は経験済みだったので、同級生の中で
大人びた存在だった。
そしてまた、大人の事情のような、僕の経験していないことを
数年前に経験したらしいが、
それは、できれば経験したくないことだった。

２０年ぶりにゆっくり呑んで話した宵は、
まるでしょっちゅう逢っているかのように更けていった。
呑み始めてすぐに、彼が何かから切り抜いてきた
「自分の人生全体を考えて、若いうちから良い意味での『遊び』を
軽視ず、人生を楽しむことの大切さや、『仕事』はこれを
実現するための手段に過ぎないことを再認識すべきだと思います」
という、某企業の元社長の言葉が、この宵を深めた一因だったろう。

その切り抜きが、カッターできっちりだったのが、
今も当時の友人達と連絡を取っている彼のマメさを物語っていた。