ムンク展にて

先日、ムンク展に行ったら監視員に注意された。
ガムを噛んでいたことに御咎めを受けた。
僕は速やかに従うてガムをティッシュに包んだ。

ムンク展に行く前に、一杯引っかけていたので
エチケットのつもりでガムを噛んでいたのだが、
ルールを犯す行為だったらしい。

休日に明るいうちから一杯引っかける事は
楽しみであり慣習である。いわば僕のマナー。
「呑んだら観るな、観るなら呑むな」なんてものは
我が辞書には無い。
「呑んだし、観るし、よって噛んだ」だけ。

エチケット、マナー、ルールの境界線は曖昧で、
日本語にすると余計にあやふやだから、
個人個人の哲学というようなものが絡んでくる。
作法、行儀、慣習、所作、礼儀、掟、規則、御法度.....等々。
ややこしい。
発展的に論議できれば理想的だが、
「棚に上げてる」ことのうしろめたさや、つっこみに
日常たびたび落ちが不毛だったりする。
「ユーモア」が足らないのだろう。

うーん、うまく言えて無いなあ。

この度のムンク展は、「装飾画家」としてのムンク＿
ということを、えらい強調している。

ガムを捨ててから、「エチケット、マナー、ルール」の
３語がこびりつきながら観ていくと、
依頼主とムンクの衝突、ムンクの葛藤、哲学が、
思いがけない角度から侵食してきて、思考がざわめいた。
沈んでいくように浮かんでいたのだった。
圧倒的な絵画の、その先の「ユーモア」に満たされていたのだった。


監視員さん、ありがとう。