2008年 01月 07日
THE GALAXY EXPRESS "BLACK HOLE" |
いつものように改札を抜け、階段を上がり
電光掲示を見遣ると「臨時特急 黒穴 10分遅れ」とある。
「黒穴」に出くわすのは、エビスビールの鯛を二匹持ったエビスさん、
コアラのマーチの眉毛ありに匹敵するくらいの、滅多にないことなので、
その日の仕事をすっぽかしてでも乗るべき千載一遇の機会なのだった。
ホームに到着した「黒穴」は、今からまさに宇宙へ飛び立つに
ふさわしいフューチャーな佇まいだった。
客席は空いていて、僕は4人掛けの進路を前にする窓際に座った。
いつもながらの車窓をぼんやり眺めていると、
ふいに景色が遠くなっていき、雲を突き抜けていった。
「黒穴」は、先程までとうってかわって、蒸気機関車になっていて、
いよいよ大気圏を突入するころ、僕はでたらめに口笛を吹いていた。
そり上がった前方の車両は、闇の中に薄紫色の煙を纏っていて、
僕はその屋根の上に、何かの拍子に瞬く
小さな細い二つの光に気をとられていた。
それはネコの眼だった。
この大気圏外にさらされていては不遇だと思い、
にしても迷いなく僕は窓を開け「おーい!」と叫び呼んだ。
その二つの光は、それより向こうの星よりも現実的に
こちらへとジグザグにすばやく寄って来て、僕の膝の上でまるまった。
そのネコは、陰と陽をあらわすような、左は白、右は黒といった毛色だった。
「ああ、おまえは宇宙ネコだな」というと、
そのネコは静かに眼を閉じ「フニャア」とぼそりと鳴いて眠った。
電光掲示を見遣ると「臨時特急 黒穴 10分遅れ」とある。
「黒穴」に出くわすのは、エビスビールの鯛を二匹持ったエビスさん、
コアラのマーチの眉毛ありに匹敵するくらいの、滅多にないことなので、
その日の仕事をすっぽかしてでも乗るべき千載一遇の機会なのだった。
ホームに到着した「黒穴」は、今からまさに宇宙へ飛び立つに
ふさわしいフューチャーな佇まいだった。
客席は空いていて、僕は4人掛けの進路を前にする窓際に座った。
いつもながらの車窓をぼんやり眺めていると、
ふいに景色が遠くなっていき、雲を突き抜けていった。
「黒穴」は、先程までとうってかわって、蒸気機関車になっていて、
いよいよ大気圏を突入するころ、僕はでたらめに口笛を吹いていた。
そり上がった前方の車両は、闇の中に薄紫色の煙を纏っていて、
僕はその屋根の上に、何かの拍子に瞬く
小さな細い二つの光に気をとられていた。
それはネコの眼だった。
この大気圏外にさらされていては不遇だと思い、
にしても迷いなく僕は窓を開け「おーい!」と叫び呼んだ。
その二つの光は、それより向こうの星よりも現実的に
こちらへとジグザグにすばやく寄って来て、僕の膝の上でまるまった。
そのネコは、陰と陽をあらわすような、左は白、右は黒といった毛色だった。
「ああ、おまえは宇宙ネコだな」というと、
そのネコは静かに眼を閉じ「フニャア」とぼそりと鳴いて眠った。
by AGIT_for_hair
| 2008-01-07 00:45
| 堕日記
|
Comments(2)
そして、君は今日もカムパネルラを探しているのだな。宇宙ネコがどうか、幸運をもたらしてくれますように...
0
ジョバンニもカンパネルラも僕の内にいるのかと...しかし友達って大切だなあ。
「宇宙ネコ」って何だったんだろう?!
「宇宙ネコ」って何だったんだろう?!