ナマステ

「南インド料理にはまっている」と彼女は言う。
「昨日も食べたし、今日も食べに行くんです。南インド料理」
その隣で彼が優しく見守っている。素敵なカップルだ。
どうやら”南”インドに並々ならぬ思い入れがあるようで圧倒される。
南インド料理はうんぬんかんぬんと熱く語られるが、
僕はちんぷんかんぷんで、それを察してか彼が、
日本でインド料理として受入れられているのは、
北インド料理寄りだと優しくフォローする。なるほど！
なんて素敵なカップルなんだ！

それから素敵になるための呪文のように「南インド」が
耳元で鳴っていて、近くのスーパーにて、引き寄せられるかのように
僕は「南インド風スープカレー」の素、の前に立っていた。
南インド風の”風”の要素の、本格的じゃないけどね、といった
いいわけがましさに躊躇したが、
素敵になる為の入門としては調度いいかもと思い購入。

休日に調理。手順も材料も普通のカレーと変わり無い。
おお！南インド！という感動もなかったが、
ヨーグルトをちょちょいとかけると何となく雰囲気はでた。
旨かったんだけどね。

彼等のいう南インド料理は、もっともっと先の僕の知らない
素敵なところにあるのだろう。
素敵は遠いなあ。