シチュー

”女心と秋の空”
揺れ動く事象に翻弄される男心を表わした名句だな。
”男心は秋の空、女心は春の空”とかもあるらしい。
どうやら男は古来から、ナサケナイのだろう。

目の前で女が揺れ動いている。比喩ではない。
たまたま乗り合わせた電車の、前の席にいる女性が
通路側に半身を乗り出し、すぐさま定位置に戻る...
といったレッドゾーンからゼロへと
F1レーサーのスピードメーター級の振れ幅（←よく知らないが...）
で行ったり来たり揺れ動いている。爆睡している。
僕はしばし眼を閉じようと思っていたが、気が気で無い。
仕事で移動中のようだ。
スーツは少し乱れてしまっているが、
職場ではデキル人だと思われる。勝手な想像だが...。
彼女の手元に”女性の品格”という読みかけの本がある。
あまり品のあるタイトルとは思えないが、
彼女にある向上心が清清しく感じる。勝手な想像だが...。
品格を問われるのは僕を含む男性のほうではないだろうか。
車窓は袖をかすめる事なく通り過ぎていく。

シチューと鮭と大根の炊き込みごはんを作った。
先週先々週と失敗料理になってしまったので起死回生で挑んだ。

当日、反応の薄かったカミさんが
翌日残ったそれを温め直しておかわりしていた。
秋はまだまだ深まっていくのかな。